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ご依頼について ― デザインのみの場合

更新日:1 日前

スケッチ

1.デザインのみのご依頼


これまでデザイン画やアイデアスケッチなどの提案は数パターンを気軽にご提示してきましたが、近年の知的財産に対する考え方の変化に合わせて法的に問題が起こらないように事前にお互いが理解した上で仕事を進める形にしています。

以下を踏まえてご相談いただければと思いますので是非ご一読ください。



家具などのデザインのご依頼の場合、依頼者からご要望を聞き取りそれらに基づいてデザインを作成します。


その際、依頼者からご提示いただくアイデアがどれほど革新的なものであったとしても著作権法等では保護されませんのでご理解ください。


※革新的なアイデアを保護したい場合は事前に特許や実用新案などを出願されることをお勧めします。(その場合、秘密保持契約を結ぶことで当方もしかるべきタイミングまで公表を控えます)


著作権法では「著作者」とは実際にデザインなどを作成した者を指し、アイデアは「著作物」ではありませんので保護の対象にはなり得ません。


「アイデアを出したのは自分だ」「依頼したのは自分だ」と主張しても著作権法では著作者人格権はデザインの作者のみに帰属すると定められていますので作者やデザイナーと名乗ることは著作者人格権の氏名表示権の侵害となる可能性があります。


 これは有名な絵画の作品が依頼者やその絵に描かれた人物や購入者の作品ではなく、あくまで実際に描いた画家のみが作者であるということを想像していただければお分かりいただけると思います。



デザインをご依頼いただいた場合、当方は「ライセンス契約のみ」となります。


著作財産権の譲渡はいたしません。

デザインを無断で改変して生産したりすることは翻案権の侵害となります。この場合も双方で合意の上でのみ可能となりますのでご注意ください。



例えばデザインアワードを受賞したデザインを変更した場合デザインアワードのロゴの使用は規約でも禁じられているのが一般的です。


デザインをご提示の際には秘密保持契約を結んでいただきます。


デザインの公表の際にも著作者人格権の公表権は著作者の権利として定められていますので合意の上での公表となります。


これはたとえば意匠登録の準備をしているときに知らない間に公表されていた場合、一定期間を過ぎると権利化ができないなどの問題が起こる恐れがある、といったケースが考えられます。

逆に前記のように特許などの出願を検討している場合もあり、秘密保持契約は双方にとってメリットがあります。


応用美術について


ここでプロダクトデザインの場合、デザインは著作権の対象ではないのではないかと思われる方もいるかと思います。


たしかに商品のデザインは「応用美術」と呼ばれ保護の対象ではないという考え方があります。

しかし、これは商品(製品)化された商品(応用美術)そのものは著作物(美術工芸品等)ではないということであり、その商品をユーザーがどのように改造、改変しても個人の使用の範囲においては著作権侵害ではないという考え方です。(注1)


ただし近年商品デザインにも著作物性が認められるようになりつつあります。(注2)


また、デザインそのものの表現であるデザイン画、イメージ画像などは作成された瞬間から著作物であり著作者人格権が発生しますのでご注意ください。


つまりこれは依頼者とデザイナーとの関係性においての権利関係のご説明で、ユーザーの権利を縛るものではないのでその点はご安心ください。




注1)ブランドロゴが入ったものなどを改変してユーザーが販売や転売した場合、商標権や著作権の侵害、不正競争防止法違反となる場合があります。実際ブランドもののバッグやスカーフをリメイクして販売して摘発された事例があります。


注2)TRIPP TRAPP事件とその後(令和5年(ネ)第10111号)



こういった知的財産権についてご理解いただけると幸いです。





 
 

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